2022年全米女子アマ選手権【馬場咲希選手優勝】

私の地元シアトルから南に一時間、ワシントン州ユニバーシティプレースのチェンバーズベイ(Chambers Bay)で開催された全米女子アマチュア選手権を観戦してきました。

チェンバーズベイでは個人的に何度もラウンドをし、全米オープンを開催したパブリックコースでもあるので、より知りたい方は過去のブログ&動画エントリーを参照ください。

おそらくこのブログをご覧の方は全米女子アマ大会の結果をすでにご存じかと思います。

服部道子氏以来日本人で37年ぶりの優勝を果たした高校生17歳馬場咲希選手

以下の大会スケジュールに沿って彼女のプレーを中心に振り返ってみたいと思います。

  • 月:ストロークプレー18H ← 現地観戦
  • 火:ストロークプレー18H
  • 水:ストロークプレー上位64名によるマッチプレー18H
  • 木:上位32名によるマッチプレー18H、上位16名によるマッチプレー18H
  • 金:準々決勝マッチプレー18H ← 現地観戦
  • 土:準決勝マッチプレー18H ← 現地観戦
  • 日:決勝マッチプレー36H ← 現地観戦

(月)ストロークプレー初日

もともと観に行くのはこの初日だけのつもりでした。日本への一時帰国のため2週間の夏季休暇を取っておりまして、この月曜がその最終日。本大会をチラ見するためだけに1日休みを追加したのでしたw

チェンバーズベイでの大会開催を知った数か月前からフィールドエントリーはマメにチェックしていました。最終的に日本人の出場選手は馬場咲希、梶谷翼、長谷川せら、伊藤二花の4選手。馬場選手は先の全米女子オープン上位者のだったため、梶谷選手は昨年4月のオーガスタナショナル女子アマ優勝によって、それぞれ出場資格を得ていました。長谷川、伊藤選手はアメリカの地区予選会を勝ち上がっての出場権獲得です。

その中でやはり注目は馬場選手でしたね。全米女子オープン決勝ラウンド進出以降、日本のメディアで話題になってましたから。

そしてこの全米女子アマ初日のストローク戦は第一組でのスタート。いくら地元とはいえ午前7時スタートの組を頭から追うのはなかなかきついですわ。でも遅いスタート時間でも具合が悪く、コースちょい手前のタコマ(Tacoma)という街で酷い渋滞に巻き込まれるのは目に見えていたので、早朝スタートは渋滞回避の意味で助かりました。

オンサイトのギャラリー駐車場に停まっていた車は10~20台ほどでしょうか。月曜だし予選だしアマチュアだし、まぁギャラリーは少ないだろうなぁと思っていたのでこれは予想通り。でも入場無料なのにボランティアの方々がちゃんと誘導してくださったのは感謝感謝です。さすが全米オープンと同じUSGA(全米ゴルフ協会)主催の大会だけあります。

ティーオフ済みの馬場選手を追いかけます。ギャラリーロープらしきものがないのでフェスキュー芝のラフを掻き分け掻き分け奥に進んでいきます。地元かつ何度もプレーしたことのあるパブリックコースのためホールロケーションはばっちり頭に入っています。

遠くからティーショットする姿が見えました。3人グループの最後に打ったのであまりスコアは良くないのかなと思いましたが、追いついた6番ホールでいきなりバーディパットをねじ込んでくれました。

しかし驚きましたね。

ギャラリーは選手の後ろを歩くんですね。

もちろんプレーの邪魔にならないことが前提ですけど、つまりフェアウェイから選手のショットやパットが見られるという、ちょっとプロの大会では考えられない観戦スタイルです。

ギャラリーロープなどLPGAまで行かないと存在せず、下部トーナメントにもないですし、渋野&古江さんが出た予選会Qシリーズにもありませんでした。でもフェアウェイにまで入れちゃうのはアマチュアの大会以下だけなのかも。

この日はシアトルエリアにしては珍しく気温30度を超える暑い日でかつここはただでさえアップダウンのあるコースなのでフェアウェーを歩かせてもらえたのは助かりましたねー。前週日本で見た男子日本プロ@三島グランフィールズのギャラリーロープの外側が山岳ハイキングのようだったのでなおのこと有難く感じます。

話を馬場選手に戻すと、この組の若干ギャラリーは多めだったかもしれません。「さすが注目の馬場選手のグループだ!」と一瞬思ったのですが、ボクと同じ街在住の地元出場選手の応援団がいただけでした。あとは一組目だったのでとりあえず付いて行ってみようという方々もいたかな。しかし多いと言っても全部で10人ぐらいですね。一般の日本人ギャラリーはボクだけだったと思います。日本のメディア、カメラクルーもいません。ほかに日本語を話してらっしゃる方がお二人ほどいらっしゃいましたが、一人は過去にLPGAの試合で何度かお見かけしたことがあるおそらく選手のマネジメントを担当されている女性の方、そしてもう一人はその女性と親しげな男性の選手関係者。女性の方には数か月前に某F選手とのツーショット写真を撮っていただいたのでよく覚えています。男性のかたはおそらく選手のお父さんなのだろうなぁとはお見受けしていたのですが、あまり咲希選手に似ていないので(失礼)正直最終日までどなたかは確証を持てませんでした。(・・・直接聞けよ、って話ですが)

馬場選手のキャディーはアメリカ人のようです。彼がクラブキャディーだと知ったのは後のことで、このときはキャディさんと英語でコミュニケーションしていてすごいなぁという印象でした。ボクの17歳のときなんて英語はまぁ学校で勉強していたけど、聞くとか話すとかあり得なかったもんなぁ。

プレーのほうは、やっぱり飛ぶなぁというのが第一印象。同伴競技者2人よりも平均して20~30ヤードオーバードライブしていました。

でもパターが下手だなぁというのが続いての印象w プレーの中盤で短いパットを立て続けに外していました。それも狙った方向に打てていないのが素人目にも明らかでした。

のちの準決勝後にちょっとだけ挨拶させていただいた時にも開口一番「初日はパットがひどかった・・・」と言っていましたからよほど酷かったんでしょうね。ボクも「確かにね~。あれは酷かったね~。」と言っちゃったけど。

とはいえ優勝への道はここから始まりました。

もちろんこの時点で、優勝はおろか週末準決勝の4人にすら残るとは思ってもいませんでしたが・・・。

初日18ホールはパープレー。そして翌2日目も1オーバーでまとめて34位タイ。上位64人というカットラインをクリアしマッチプレーの決勝ラウンドに進みました。

この日、ラウンド後真っ先に向かったのは練習用パッティンググリーンだったことは言うまでもありません。

なお、初日の動画はこちら

(金)準々決勝マッチプレー

週末は男子PGAプレーオフ初戦を観にメンフィス小旅行をプランしていたのですが、注目の松山英樹選手が首痛のため大会を棄権したため、ボクもフライトその他すべてをキャンセルしてシアトルの自宅にいることにしました。

その間、馬場咲希選手はマッチプレーで強敵を次々と打ち破りベスト8進出。

特にストロークプレーの予選ラウンドを1位タイで勝ち上がった中国の13歳=アリス・Z・チャオに3&1で勝利したのが大きかったと思います。

そしてメンフィスで松山選手を見ているはずだった金曜日、ボクはまたチェンバーズベイに戻ってきました。

馬場選手のティーオフ時間は午後2時50分。

かなりの余裕があったはずなのに、ボクの到着はティーオフ時間ギリギリw

1番ティーグラウンドに向かう馬場選手とすれ違い、勢いのまま「グッドラック、咲希!」と声を掛けさせてもらいました。ちゃんと「サンキュー」と返した馬場さん。えらいw  そしてナイスドライバーショット。

準々決勝のマッチプレー対戦相手はアメリカのローレン・リーハイ選手。ニューメキシコ大学の学生だったと思います。

今日も選手の後ろをすたすたと付いていきます。

平日金曜とはいえ、ベスト8ともなるとギャラリーはちょっとだけ増えました。

空はまたしても快晴。でも気温はちょっと低めかな。

馬場選手のドライバーは相変わらず飛びますが、平均的な飛距離では対戦相手のリーハイが上かも。

このレベルになると馬場選手のパワーはアドバンテージにならない感じがします。みんなデフォルトでドライバーの距離は250~270ヤード。フェアウェイが広めなのでセカンド以降、特にショートゲームで差が付く印象を持ちました。

そしてそのショートゲーム。初日見たときには外しまくっていたパターも冴え、均衡が破れた6ホール目以降は馬場選手の一方的な展開に。

ホールアウトするたびに、組に付いているオフィシャル審判が

「ババ~、スリー。リーハイ~、フォー。ババ~、ワンナップ!」

などとアナウンスしてくれるのが嬉しいですね。ちゃんとしてますね。

リーハイ選手は地元アメリカ人ですから、どちらかというとアウェイの馬場選手。

特に馬場選手がリードしてからはリーハイへの歓声がより大きくなりました。

しかしそこは容赦せず15番ドーミーホールで長いパーパットをズドンと沈めて勝負あり。4&3で馬場選手の勝利です。

ここにきてようやく日本のメディアも馬場組を追うようになったようですね。前日まで試合の模様を伝えるウェブメディアでは2か月前の全米女子オープン時の写真が使われていたのに、この準々決勝に関する記事では実際にコース上で撮られた写真を目にしました。このカメラマン/記者さんはそのすぐ翌週にアメリカの反対側にあるデラウェア州開催の男子BMW選手権の記事も書かれていたので、移動が大変だったろうと想像しますが、現場主義はとても信用に値しますよね。

また逆に、コースにいらっしゃらなかったのに、まるでこの目で見たかのように記事を書かれていた「在米」ジャーナリストさんもいらしてちょっとびっくりしましたけど。

なお、準々決勝の動画はこちら

(土)準決勝マッチプレー

実は同じワシントン州で、かつさらに近所で、PGAシニアツアートーナメント「ボーイング・クラシック」が開催中でした。フレッド・カプルス、アーニー・エルス、ヴィジェイ・シン、スティーブ・ストリッカー等のビッグネームが出場している、ボク個人的にも毎年観戦している大会なのですが、もうここまで来たら馬場選手を追うしかないですよね。

正直、ダブルヘッダーで、女子アマを観たのちその足でシニアトーナメントへ・・・とも考えたのですが、時間的に無理w

決勝進出を掛けたマッチプレー準決勝のティーオフは午前11時15分。

余裕なはずなのになんとスタート時間に間に合わず、駐車場からショートカットして1番ロングホールの3打目地点に向かいました。

すると目の前をグリーン方向に転がっていくボールが。

馬場選手のセカンドショットでした。

ほぼツーオンという状況からこのスタートホールでバーディー。対戦相手のベイリー・シューメイカー選手から早速1アップを奪いました。

シューメイカーは唯一ベスト4に勝ち残ったアメリカの選手。したがって馬場選手は露骨にアウェイです。日本人ギャラリーも若干散見されるようになりましたが、地元アメリカ人には到底及びません。

しかしシューメイカーはショートゲームがいまいちですね。パットが入りません。序盤から馬場選手が勝ちを積み重ねていきます。馬場選手の調子がいいというよりもシューメイカーが自滅している感じ。でもアマチュア選手のショートゲームってそんなレベルなのかもしれないですね。このチェンバーズベイのポテトチップグリーンでアプローチが常にべたピンでパットがポンポン決められるぐらいなら今頃トッププロになっているでしょう。

そういう意味ではアマチュアの中にひとりプロが混じってしまった感じさえする馬場さんのプレーぶり。前半9ホールを終えてすでに5アップ。

前日から35ヤード短くなった246ヤード12番ミドルホールでドライバーショットをワンオンさせて勝負あり。7&6という、なんでもかのアニカ・ソレンスタム以来という大差で準決勝を勝ち進みました。

この試合もドライバーの飛距離的には相手選手が上回っていたものの、抜群のアイアンとショートゲームで差を付けました。

しかしまぁ地元アメリカ人選手に対して容赦ない猛攻でした。恐るべし馬場咲希。

勝敗決着後すぐに現地ゴルフチャンネルのレポーターに捕まり、

カメラチェックと予行演習をしたのち、通訳(=初日から馬場さんに付いておられた女性)を挟んで本番インタビュー。とても簡単なやり取りのようでしたが笑顔が絶えない感じで遠めに眺めていたこちらまでほっこりしました。

同じく12番グリーン脇で即席サイン会。

まぁそんなに列を作るってほどじゃなかったですけど、ボクも最後にサインと自撮りを頂きました。

その際にちょっとだけお話しさせてもらったんですが、「初日はパットが悪かった・・」と彼女が言った以外覚えてません。すみません。あっ、「明日も応援に来ますんで・・・明日は36ホールで大変だけど・・・」っては別れ際に言ったかな。

やっぱ緊張するよね。こんなアメリカに住むおっちゃんが17歳日本人女子高生とか話す機会は絶対にないし。むしろうちのムスコを連れてきて代わりに話してほしいぐらいですわ。

その後、通訳さん、お父さん、キャディーさんら選手関係者らと同じく12番ホールのグリーンをバックに記念撮影をしておられました。

とにもかくにも決勝進出だ! ヤバい。ここまで来たら優勝してほしい。

なお、準決勝の動画はこちら

(日)決勝マッチプレー

決勝のティーオフは午前9時30分。

さすがにこの朝は30分前にティーグラウンドに到着しましたよ。相変わらず少ないギャラリー駐車場からコースのシャトルバンで練習グリーン横まで乗せてもらえたので尚更早く到着できました。

まず全米女子アマ歴代優勝者リストにある服部道子さんの名前を拝み、対戦する2選手しかいない練習グリーンを眺めます。

相手はカナダのモネ・チョン(Monet Chun)。名前から韓国出身なんでしょうが国籍はカナダ。ワシントン州は国境を接しているためカナダからの応援団の姿もちらほら。日本の国旗やボク以外の日本人ギャラリーの姿もありますが確実にマイノリティ。従ってやはりここでも馬場さんはアウェイですよ。

というかこれってひょっとして単にボクの被害妄想?・・な気もしないでもないですが。

モネ・チョンのプレイは一昨日準々決勝でチラ見していて、その際には17番の難しいガードバンカーからチップインバーディを取っていました。なので手強い印象しかありません。よって相手に不足なし。

「Monet Chun has the honor. Play away, please!」

というアナウンスとともにモネ・チョンがティーオフ。続いて馬場選手が豪快にドライバーを右に吹かしました。

フェアウェイからグリーンオンに3打を要したモネ・チョンに対して、バンカーからナイスセーブの馬場選手が早速1アップ。

前日、前々日と全く同じなのですが、ドライバーの飛距離や正確性よりも、アイアンとショートゲームのうまさでスコアを作っていく馬場選手。ひやりとしたのは右ラフからのセカンドショットがさらに深いラフに捕まりアンプレヤブルした6番ホールぐらいで、アマチュアの大会にまるでプロが一人紛れ込んでしまったかのように勝利ホールを積み重ねていきます。

気が付けば最初の9ホールで5アップ。モネ・チョンのプレーが若干落ち着いてきたものの前半18ホールで7アップの大量リード。

午後1時12分に18番をホールアウトし、「続きの18ホールは4時から開始します」とのアナウンスに多くのギャラリーがブーイング。

自分を含め、てっきりこのまま、もしくは短いインターバル後すぐに19番ホールに入ると思っていたので、3時間近い休憩タイムは想定外。

でももう勝ちを確信したギャラリーやキッズの馬場選手にサインや記念写真を求める姿にほっこりさせられたり。

ボクは一応おにぎりを何個か作って持ってきていたので、駐車場の車に戻ってランチタイムとすることにしました。コース上のホール間で食べるつもりでいたんですけどね。

動画の編集をしたりすると3時間などあっという間です。というか日本人がアマチュア世界最高峰の大会に優勝せんとするこの時間って、得たくてもなかなか得られないものですよね。なので貴重な時を過ごさせてもらっていることに感謝こそすれど文句なんて出ようはずもありません。


後半18ホールのティーオフ時間午後4時少し前に1番ホール(=19番ホール)に戻りました。

するとなんとあからさまに午前中とティーグラウンドの位置が違います。かなり前に出ました。この短い時間に移動したんですね。USGA恐るべし。

日本向けのメディア関係者も増えましたね。各種PGAの大会やLIV招待@ポートランドで活躍ぶりを直に拝見したカメラマン/記者の方もおられました。なかには休暇中または次週の大会に備えてらっしゃった方々もいるんだろうなぁと思ったり・・。翌日月曜のウェブメディアでゴルフジャーナリストとして記事またはコメントをお書きになっていた方々はやはり現場にはおられませんでしたがw

後半のここからはマッチプレーの様子が全米に生中継されます。予定の午後4時になってもティーオフしなかったのは放送開始直後のイントロ終了を待っていたから。

4時2分になりここでも午前中と同様に選手紹介された上で、

「At the conclusion of first 18 holes, Saki Baba is 7 up and has the honor. Play away, please! (最初の18ホールの結果、7アップの馬場咲希選手がオナーとなります。プレーよろしくお願いします!)」

とアナウンスを受け、馬場選手とモネ・チョンが19番ホール(=1番ホール)をティーオフ。

20番と21番でナイスパットをしたモネ・チョンが取り返して馬場選手の5アップとなったものの、22番ロングホールのバーディーで流れを止めました。

23番ではグリーン奥からの難しいアプローチをチップインさせ7アップに戻したことで完全にチョンの息の根を止めた感じ。

そこからあっという間に10アップとなり27番ドーミーホールで見事なバーディーパットを沈め11&9という記録的な大差で完勝。

同じ17歳高校生でマッチプレー2戦目で敗れた伊藤二花選手のウォーターシャワーを浴びハグされたところでウルっと来たのちお父さんからの熱い祝福。(このとき、初日からずっと馬場選手についていた男性が彼女のお父さんと知りました(恥))。

馬場選手のキャディー=ボーさん(・・・よく「ババボー!」とギャラリーに呼ばれてました。)がインタビューを受けたのち、勝利を決めた27番(=9番)グリーン上で表彰式。

リクエストに応じて優勝トロフィーにキスしようとしたら帽子のツバが引っかかり上手くいかないなど、初々しすぎておじさん号泣でしたよ。

カメラマンに交じってボクを含むギャラリーも写真撮影会に参加させてもらいましたw 一番前で一生懸命写真を撮っていたのは選手のお父さんでしたけど。

なお、決勝戦の動画はこちら

今後

馬場咲希さん、今後はどうなっていくのでしょうか。

この優勝で出場権を得た海外のメジャートーナメントへはアマチュアとして参加するとして、まぁ個人的には期待値を低めにして今後を見守りつつ長い目で応援したいなと思っています。

期待した結果に届かず外野があーだこーだ言う可能性は高いですが、ここ数十年の全米女子アマ優勝者を見ても、すぐにプロと同等またはそれ以上に結果を出したプレーヤーはリディア・コぐらいなもので、ダニエル・カンにせよエマ・タリーやジェニファー・ソンにせよ、LPGAで結果を出すまで数年かかっています。ここ最近の優勝者に至っては下部ツアーから徐々にランキングを上げている最中の選手も多く、結局のところアマとプロって元から大きな差があるということなんでしょう。

今季&来季のプロトーナメントの結果に寄るところも大きいですが、ゴルファーとして成長するための来年以降のオプションとしては、1) JLPGAのプロテスト受験&合格、2) JLPGAツアー優勝&プロ宣言、3) US LPGA(または欧州LET) のQスクール受験&出場資格ゲット、4) 日本の大学進学&ゴルフ部入部、5) アメリカの大学進学&ゴルフ部入部、あたりが考えられるでしょうか。

選択肢は多いほうがいいのでうらやましい限りですが、ウェブメディアの情報を見る限り、1) のJLPGA プロテスト受験、または 5) のアメリカ大学進学、が有力なんでしょうか。

JLPGAのプロテストは難易度高いですよね。昨年女子アマの最高峰に登り詰めた梶谷翼さんですら落ちてますから、プレッシャーも半端ないと思います。でも畑岡さん以外US LPGAの日本人ツアーメンバーはみなこのルートを通ってますので、プロとして世界へゴルフキャリアを広げるための王道といえば王道ですね。

アメリカの大学へ入学してゴルフ部で腕を磨くというのもいいですよね。タイのパティ・タバタナキットやフランスのセリーヌ・ブティエ、スウェーデンのアンナ・ノルドクビストなどこのルートでトッププロになった選手を挙げればきりがありません。決勝の相手だったモネ・チョンもミシガン大学のゴルフ部在籍中、37年前の優勝者服部道子さんもテキサス大学に進学しました。ただ短期的にはこれもなかなか大変なようです。今回の優勝でゴルファーとしての入部基準はクリアしたとしても英語ができないと入学できません。アメリカ人キャディーとなんとか意思疎通ができる、レベルではちょっとまだ厳しいかな・・・。男子トップジュニアアマだったチリのホアキン・ニーマンが英語の点数が足りずアメリカの大学に入れなかったのは有名な話です。かつ文武両道が求められるため一般生徒並みに勉強し高いスコアを維持しなければなりません。ジュニア育成の第一人者、井上透氏のウェブページにもゴルフ留学について触れられています。

そして大学入学後もスポンサーの金銭サポートを引き継ぐ受けられるのかも要確認ですね。各大学、チームでユニフォームがあるので、帽子、ウエアの企業ロゴ表示はおそらく不可と想像しています。

ボク個人としてはアメリカ大学留学ルートを開拓してほしいなぁとは思っています。仮にゴルフでつまづいたとしてもそれ以外で大きな学びが得られ、その後の人生を豊かにしてくれる可能性が高いからです。でも合わない人は合わないですからねぇ。

いずれにせよ、先にも言ったようにトーナメントでの期待値を低めに設定して、当面は世界アマチュアランキング20位台の現状に見合った結果が出せれば御の字という、具体的にはプロのトーナメントでは予選落ちデフォルトで、アマチュアの世界大会で上位に入れればよし、とするぐらいの気持ちでいようと思います。